謝岳静 個展
会期:2025-09-02(火)〜2025-09-07(日)
時間:12:00-18:00(最終日17:00まで)
場所:KOTANSU Gallery
謝岳静は、「自己とは何か」を主題に、写真と絵画の融合した表現を追求しながら、鏡を媒介したインスタレーションを主に制作する。鏡面にフィルムを置き、墨でドローイングを施し、重層像としてスキャンする——こうしたコラージュの手法は、謝の独自技法である。鏡に映る虚像や視覚と内面のズレに着目し、現実と非現実の境界が曖昧に揺らぐ瞬間に、流動する自己の姿を見出そうとしている。そうした自己像の揺らぎは、現代社会における自己認識やアイデンティティの不確かさとも深く関わっている。
その過程で、謝は、『菜食主義者』を読んでから、「私は誰か」という問いの向きが少し変わった。 すなわち、固定された属性ではなく世界とどう関わり・どう感受するかという在り方として問いを捉え直し、そこから「木になる」という想像へとひらけた。本展では、誰もが目にする日常の景色や事物という共有の足場から出発し、鏡面・墨線・反転写真といった要素を重ねて見慣れた意味をそっとずらしていく。こうして立ち上がるのは、人類が共有する感覚——呼吸、湿度、温度、距離感——であり、さらに観者それぞれの内的体験へ通じる感受の回路である。
謝岳静。2025年、京都芸術大学大学院美術工芸領域写真・映像分野修了、2021年に西安美術学院中国画学院花鳥画コース修了。受賞にTOKYO FRONTLINE PHOTO AWARD 佐々木淳賞・川島崇志賞(2023)。個展は「FLUID ECHO」(同時代ギャラリー/京都、2025)。主な展示に「カンカク展#3」(410ギャラリー/福岡、2025)、「植物展」(betweenギャラリー/東京、2025)、「揺らめく境界」三人展(恵風ギャラリー/京都、2024)など。



